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「ゆとり教育」のお話

愛読しているブログ「極東ブログ」に「ゆとり教育」の話があったのでちょっと引用&考察。

--------------------以下引用--------------------
22日文部科学省は、全国の小学生(五・六年)二一万人と中学生二四万人を対象にした教育課程実施状況調査(学力テスト)の結果を発表した。通称「ゆとり教育」と言われる、2002年度開始の新学習指導要領の定着度として見ると、まずまずの成果だ。いや、これはかなりよい結果が出た。前回と同一問題では43%も正答率が高く、ごく一部の教科を除くと全体で前回よりもよい。学習意欲も学習時間も増加した。ということは、ゆとり教育でよかったのである。それ以外の結論がどうでるのかわからない。

 だが、すでに文部科学省では昨年末、学力低下が進行しているとかで、ゆとり教育の見直しに着手している。なにやってんだかという感じだ。暫定的であれ、少なくともこうした結論が出ている以上、もうしばらく現状を継続していくべきなのではないか。

 新聞社説などを見ると、「そうは言っても」論が多い。なぜそこまで文科省の方向に口裏を合わせるのかよくわからない。23日付け朝日新聞社説”学力調査 「考える力」が心配だ”(参照)では次のようにめちゃくちゃな不平を言っている。

(引用コラム略)

 この戦前の訓話みたいなのが現在の朝日新聞の社説なのであるから苦笑してしまう。産経新聞と日本経済新聞がこれについて社説では触れてなかったように思うが、毎日新聞と読売新聞の社説も似たようなものだ。

http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2005/04/post_2262.html
--------------------引用終り--------------------

ゆとり教育って、要するに詰め込み教育の逆なんでしょうが、確かに名称先行でよく分からないスローガンです。むしろ問題はfinalvent氏が書いているように、こういう呼称にほだされての、マスコミをも含めた右に習え的傾向なのでしょう。

それにしても、そもそも「学ぶ」という過程をよく反省すると、「ゆとり教育」VS「詰め込み教育」という対立自体がおかしいかもしれない。どっちも必要ですよ。書いてて恥ずかしくなるほど当たり前ですが・・・。

外国語とか数学とか、振り返ると確かにそういうことがあります。理屈抜きの反復を通じて数式や表現に習熟することと、なにかを理論的、一般的に直感する知性の獲得とは、ほんらい別々のものではありえない。

ゴリゴリやるから、退いたときの広がりがある。逆にその広がりが、ゴリゴリに意味を与えてくれる。

「ゆとり」というなら、これこそホントのゆとりかもしれません。

でもそういう当たり前のことを、教育について考える人たち自身が、分からなくなってきているんじゃないか。ただ「ゆとり教育」対「詰め込み教育」のような、与えられた二項対立をもてあそんで、考えた気になっている。言い過ぎかな。

ところで日本の大学は、どこもやたらと改革をやっていますが、行政的に実施される教育改革というのは、いわば一種の都市計画みたいなもんだと僕は思ってます。

この比喩は、かならずしもネガティヴなものではないですが、要するに良く考え抜かれ、設計され、整備されていればそれで「住みやすく」なるかというと、必ずしもそうではない。考え尽くした末の理想像が、人口都市ブラジリアのようなスラムを生む可能性もある。

まあそれは懐疑的に過ぎるとしても、つまりはどうしても計画的にコントロールできない部分がある。僕らがある程度コントロール、あるいはむしろ自力で「改善」できるのは、あくまで個々の授業の内容とか、そういったものなんかじゃないか。それより上のレベルになると、たちまち不確定要素が増えて、暗中模索となる。

自分の店の管理はなんとかできても、市場は複雑系というか自然成長的で、もはやコントロールできない。そもそも学校の雰囲気というのは、生徒や学生によっても大きく変わるcontingentなものだし、もともとそういう、なにか生き物みたいなところがあるはずです。

カリキュラム改正の「効果」とか「成果」が分かるのだって、大学では、少なくとも4年や6年先の話。ところがどういうわけか、今はみんな、2年おきとか1年おきに、どんどん変えて行くんですよね。

これはなにか、都市「無」計画とでもいうべき、やや神経症的な反復になっていはしまいか。

小中学校の先生が、落ち着いて自分の授業をじっくりと工夫する。本当はそういう時間=ゆとりだって、もっともっと必要じゃないかと、僕は思うんですよ。

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» 「ゆとり教育」 or 「脱ゆとり教育」 [オヤジライターが、もの申す!]
この10数年間、「ゆとり教育」が推進される中で、ある言葉が取りざたされてきた。   「浮きこぼれ」だ。 「落ちこぼれ」の対義語として生まれた。 「落ちこぼれ」が、学校の勉強のペースに追いつけず落伍する子供を指すのに対し、「浮きこぼれ」は、学校の勉強のペースよりも進んでいる子供が、授業を物足りなく感じたり、クラスの中で疎外されたりすることで、不登校やイジメの原因となることを言う。 ... [続きを読む]

受信: 2005.04.26 05:55

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